情熱ものづくりインタビュー
株式会社北村味噌醸造場

地元の皆様に愛される味噌作りを目指して

株式会社北村味噌醸造場 代表取締役 北村晋也

第二回目の社長インタビューは、枚方に根付く老舗味噌醸造会社、株式会社北村味噌醸造場の北村社長にお話を伺いました。

ご当地ならでは!「菊人形みそ」が看板商品。

京阪枚方市駅から大阪方面へ、商店・飲食店街を抜け、やがて現れる宿場町を思わせる風情の一角に、「北村みそ本家」は店舗を構えます。江戸旧家の造りそのままに、独自の雰囲気を持つ店舗は、枚方に移転してからは、数回の改装は行ったものの、築約200年の歴史の重みを感じさせる、どっしりとした佇まいで私たちを迎えてくれます。店舗は、凛とした雰囲気とほのかな味噌の香り。北村さんは、これぞ職人という出で立ちながら、人懐っこい笑顔で迎えてくださいました。

――――貴社の売れ筋商品を教えてください。

看板商品は「菊人形みそ」です。全体売上の7~8割を占める主力商品です。

――――その特長は?

厳選素材を使用し、その素材の味を生かした味噌です。1対2の比率で、豆よりお米の方が多く配合されているので、お米の甘みがしっかり感じられる、香りの高いまろやかな味わいが特長です。
お客さんですが、意外と男性のお客さんが多く、全体の2割ほどいらっしゃいます。自身のスタイルやこだわりを重視する男性の皆さんから支持されるのは、嬉しいことですね。

無理せず、いいモノを作っていく。それが、こだわり。

――――男性ファンが多いとは、意外でした。ところで、北村さんのモノ作りのこだわりは何ですか?また、貴社の事業方針を教えてください。

モノ作りにおいては、先入観なしで、美味しいかどうか。即ち、味覚で勝負するということです。こだわりについては、よく質問されますが・・・(笑)。無理せず、いいものを作っていきたい。それが、こだわりですね。過度に、無理なことはしない。原材料は、国産品を使用していますが、それはこだわりではなく、日本のものを使うことは普通のことだと思うんですね。

時代の流れとともに、味噌の味(お客様のニーズ)も変化しています。その時代に合わせて、味噌作りも進化し、変化させていく必要があると思います。お客様の味覚も常に変わっています。創業以来の味を守る、ということではなく、時代の中でベストなもの、美味しいものを作ることが大切だと考えています。先代からも、「代々同じものを作る必要はない。好きなように、美味しいと言われるものを作りなさい」と言われています。事業をするうえでの方針は、「商品のクオリティーは高く維持し、利益を重視すること」です。また、危機管理をしっかりと行い、常に備えておくことが、大事だと考えています。

地元の皆様に、自社商品を食べていただくことが、「企業価値」。

――――北村さんが、現在取り組んでいることがあれば教えてください。

枚方市の全域で「まちゼミ」という枚方市商業連盟主催の無料講座があり、いろいろなお店の方が講師となり地域の皆さんに受講していただくのですが、北村みそでは「塩分講座」を実施しています。また、地元の小学校では、子供たちと味噌作りの実習授業も行っています。実習を経て、「麹(こうじ)」という漢字が書けるようになったんですよ。

――――公立の小学校や保育所などで給食として北村味噌が使われているとお聞きしていますが。

そうですね。枚方市の学校給食は、地元の食材を使おうというのが一つの方針のようですし、私自身、地元の皆様が自社商品を食することが、「企業価値」だと考えています。

――――素晴らしいですね。まさに、「地元の皆様に愛される味噌作り」ですね。

自分は自分らしく、自然体でいたい。

――――今後のビジョンについてお聞かせください。

50歳になったら、売ることを考えず、「モノ作り」をしたいですね。自分の時間を、味噌作りに費やしたいと思っています。世代交代のイメージについては、今のところ具体的にはありません。伝承には、経験値が必要だと思います。今後の商品展開に関しては、調理に手間のかからない、お惣菜などと組み合わせる味噌を作れたら、と考えています。味噌汁は、作るのに結構な手間がかかりますし、できればもっと生活に密着した味噌を作りたいですね。

――――最後に、北村さんの座右の銘を教えてください。

「起きて半畳、寝て一畳。天下取っても二合半」です。人間が生活するのにそれほど多くのものはいらない、という意味です。自分は自分らしく、謙らずに、自然体でいたいと常に思います。

――――ちなみに、北村さんは毎朝味噌汁を召し上がられますか?

北村家の朝食は、毎朝食パンです(笑)。

――――お忙しいなか、貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

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