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植田工業株式会社

注目の技術・製品

「関西ものづくり新撰2017」植田工業株式会社の大気腐食モニタリングユニット

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枚方市東部、国見山のふもとに甲子園球場約7個分の広さを誇る津田サイエンスヒルズ。ここには科学技術の発展と産業の振興を担うたくさん企業が集まっています。
今回の『注目の技術・製品』は津田サイエンスヒルズに本社を置き、新しく開発された「大気腐食モニタリングユニット」が「関西ものづくり新撰2017」環境・省エネ分野に選定された、植田工業株式会社をクローズアップいたします。

「大気腐食モニタリングユニット」とは?

金属腐食(錆び)の量が計測ができるユニットです。腐食センサーと微小電流計測ロガーから構成され、センサーから腐食電流を計測します。大気中の濡れ時間、海塩量といった金属腐食性因子、腐食する速度などを評価することができます。
鉄筋が使われている建築物の補修や、水道管といったインフラ整備計画などにおいて、対象の金属腐食速度を計測することにより、メンテナンス計画の優先順位を決めることが可能となります。
これまでの腐食モニタリングユニットは本体がビジネスバッグほどの大きさで、外部電源を使用していました。モニタリングユニットを設置するにも、実際に計測が必要な個所では電源供給が難しいケースが多く、何十メートルも電源コードを引っ張る必要がありました。また、場所によっては設置に約2日、取り外しに1日と手間とコストがかかっていました。

植田工業はこのユニットを手のひらに収まるサイズにし、内蔵電池で動くものにしました。10分ごとの測定間隔でも約1年間電池切れすることなく、ログにいたっては約2年間保持することができます。
また今までにはなかった、温湿度計が一体となったロガーも開発。
これまでの大気腐食モニタリングユニットの常識を覆す画期的な製品となったのです。
 

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なぜ、大気腐食モニタリングユニットを?

植田工業は1959年に大手家電メーカーの共栄会社としてスタートしました。金属プレス加工を中心に売上を伸ばし、その2年後には植田電機製作所として法人化。1967年には大阪本社以外に福井県にて三方工場を新設。以来、金属プレス加工において大手メーカーへの部品供給会社として確固たる地位を確立してきました。

三方工場が立つ福井県三方には若狭湾国定公園に属する三方五湖があります。観光地でもあるこの地は早くから環境汚染に対する意識が高く、10年以上前から植田工業は地域で貢献できることはないかと模索し続けていたそうです。
最初は、森林整備のために伐採された竹から竹炭を作り、それで何かができないかを研究していました。
竹炭をパウダー状にして家畜のエサにしたり、竹炭を土に混ぜることで肥えた土にするなどです。
これらの研究・開発をしていく中で、福井県工業技術センターの方々と関係が深くなっていきました。

福井の冬は雪が多く、三方工場も積雪や結露に悩まされます。ストックしている金属板などの材料を錆びから守るにはどうすればいいのか、長年悩んでこられました。
錆びについて、竹炭の研究でお世話になった福井県工業技術センターに相談したところ、偶然か現在、福井県工業技術センターは金属の錆びを検出するセンサーを研究中とのこと。精度の高いセンサー基板を作ることが可能な企業を探していたと知ります。
こうして金属プレス加工会社である植田工業は、大気腐食モニタリングの世界に足を踏み入れることとなったのです。
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代表取締役社長 植田 守 さん

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「大気腐食モニタリングユニット」
開発責任者・三方工場長
松田 進 さん

異なるジャンルへの参入

福井の寒い冬。積雪と結露による錆びに悩まされつづけていた植田工業・三方工場。
松田工場長は「腐食センサーの基板生産の話は、まったく異業種への参入という認識は無かった」と言います。
それでも異なるジャンル。例えば基板生産に必要なスクリーン印刷など。これまでの金属プレス加工だけのノウハウでは適応しにくい、新しい知識を、三方工場の開発者たちは積極的に学んでいきました。
「基板をプレスするのなら、センサーも自分たちで作ってみようか」
開発から3年かけてようやくJSCE(公益社団法人腐食防食学会)の認定に合格し、自社で腐食センサー(ACMセンサー)を生産・販売することとなりました。

腐食について、福井県工業技術センターとやりとりしていく中で、腐食モニタリングの重要性と将来性に可能性を見出すこととなります。
例えば50年物の建築物。錆びによる腐食で老朽化する箇所は全てではありません。どこが老朽化して、どこから補修していくのか。メンテナンスの順番や頻度を決めないとコストが高くつきます。それにはセンサーを使って1年間365日、天候や季節見ながら結露データを取って、数値化し裏付けする必要がなります。
ただ、実際に計測が必要な場所は、電源から距離があるところが多く、その度に何十メートルものコードを引っ張りアンカーを打ちコードを保護するとなると、かなりの手間とコストがかかります。
手のひらサイズに収まり、1年間電池で動く腐食モニタリングユニットの開発は必要不可欠であったのです。
 


一工場がメーカーに 植田工業の挑戦

2016年7月に発売された「大気腐食モニタリングユニット」。これまでの大掛かりなユニットから、手のひらサイズで未経験者でも簡単に設置でき、パソコン上でログ解析が簡単にできる画期的な腐食モニタリングユニットです。
製品化に至るまでは何度も大きな壁に当たりました。
「最も苦心したのが、電池の小型化と長寿命化、そしてロガーの省電力化です。測定用には1年365日、四季折々のデータを取るにあたって電池切れが起きないようにすることが大変でした。また、何かあった時のためにログ記録は2年間の電池寿命が必須と考えました。
試験機1号は7日間ほどで電池切れを起こしました。以降、どうすれば電池が長く持つか試行錯誤の毎日でした。
また、この端末はロガーの駆動とログの記録用に2つの電池を内蔵します。そのせいか試験機ではお互いの電池が干渉しあい、ごく僅かなノイズが出ました。このノイズをカットするのに相当悩みました」
と松田工場長は話します。

「大気腐食モニタリングユニット」はこれまで腐食モニタリングをしていた企業にも多く購入されました。それだけ市場のニーズにマッチしていたユニットと言えるのでしょう。
また、センサーだけの単体注文も増えたと言います。海岸地帯だと潮風や海水の影響でセンサーは1か月持ちません。多いところでは年に12枚以上、センサーの取り換えを行うらしいです。
センサーを生産するのは、植田工業の本業・金属プレス加工が得意とするものです。

「この事業は決して、植田工業がこれまで築きあげた金属プレス加工での技術・信頼と無関係ではありません」
代表取締役社長・植田守さんはこう言います。
植田社長は2016年夏、「大気腐食モニタリングユニット」が販売された頃に福井県工業技術センターへ訪問しました。
「この事業は福井県工業技術センターとの深い関係でここまでこれた」と植田社長は続けて言います。
「大気腐食モニタリングユニット」を世にもっと広げるため昨年、植田工業はいろんな展示会に出展しました。
驚くことにブースに来られる方の多くが、この商品について知っていたそうです。それだけ、大気腐食に関心を持つ人たちが興味を持つ商材であったのでしょう。
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取付例


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365日間取り続けるログ



20年先でも生き残れる企業として

経済産業省が掲げる国際標準開発事業の一つに「ACMセンサを利用した大気の腐食性評価に関する国際標準化」というのがあります。
これは既存のISO9223(大気の腐食性分類)が抱える問題点を解消するため、新たにACMセンサー(Fe-Agのガルバニ対を利用した大気腐食モニタリングセンサー)を使って、環境の腐食性を分類することを国際標準提案(ISO)するというものであります。
植田工業はACMセンサーが国際標準提案されると、取得申請をする予定です。
植田工業はマレーシアにも工場を持っているので、マレーシアを中心としたタイ・ベトナム・インドネシアといった東南アジア諸国での展開も検討しています。

植田社長は言います。
「従来の金属プレス加工は数があって利益が出る商売でした。しかしこれからの時代はどうでしょう。大手メーカーの生産数が減った今、我々中小企業は大手メーカーの需要より多く数をこなすことは物理的不可能なのです。
植田工業は『より良い品をより早く』を基本方針に取引先の皆様に信頼を得てきたと少しは自負しております。これからは信頼にプラス技術を加えていきたいと考えます」

植田工業の大阪本社では自転車の部品も製造しています。
そこでは、植田工業でしか作ることができないオンリーワンの技術と生産性を誇っています。一台のプレス機で複数の加工を行う量産品向けの順送プレス加工。それは複雑な三次元形状もこなす高い技術力で、品質・コストともに世界最高レベルとの評価を受けています。

植田社長は続けて言います。
「植田工業は大阪本社・三方工場ともに、開発者が育っています。
大阪本社ではこれまでの基本方針の通り、オンリーワンの技術を開発。植田工業でしかできないハイクオリティな部品を供給できるようにです。
三方工場は「大気腐食モニタリングユニット」を起爆剤として、福井県と協力しながら、メーカーとして自立していけるようにです」
 


キーワードは「もったいない」

部品供給会社としてメーカーとして。オンリーワンを目指す植田工業株式会社。
植田社長は最後にこう付け加えました。
「我々は、無駄を省きたいのです。今回の『関西ものづくり新撰2017』も環境・省エネというテーマで選定していただきました。大阪本社ではいくつかの大手メーカーから受注があるのですが、総じてロスのない設計にかなりの神経を使っていらっしゃいます。材料ロスを極限まで無くすこと。これは今を生きる部品供給会社としては絶対事項だと考えるのです。
三方工場のモニタリングユニットに関しては、この製品で多くの企業が改修・補修において無駄なコストが削減できればと考えています。そしてモニタリングユニットがたくさん売れれば、それは売上となり税金として、これまで協力していただいた福井県に恩返しできます。我々にとって『もったいない』を追及し続けること、それは20年後・30年後それ以降も企業として生き延びることなのです」
 


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松田三方工場長(左)と植田社長(右)


お問い合わせ先

植田工業株式会社
【本社】
〒573-0128 大阪府枚方市津田山手2-2-20 (津田サイエンスヒルズ内)
電話 : 072-808-3800
【WEBサイト】植田工業株式会社
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