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第一メリヤス株式会社

第一メリヤス株式会社


第8回目のインタビューに登場してくださるのは、『第一メリヤス株式会社』の代表取締役社長・小久保貴光さん。同社は大正時代に東京の中目黒で創業し、関東大震災を経て大阪に移転。原料の下ごしらえ、プログラミング、編み、縫製、洗い、ボタンやタグ付け、仕上げ作業、検品・袋詰めまで、すべて自社でおこなう「ニット製品メーカー」です。その4代目社長である小久保さんに、ものづくりへの想いや、これからの展開についてお話を伺いました。


第一メリヤスのDNA「着る人を想う」

第一メリヤス
――――創業が1919年。約100年の歴史がありますが、ニット製品業界という市場の移り変わりをどのようにご覧になりますか。

第一メリヤスは、長きにわたりOEMの会社としてニット製品を作ってきました。一加工業という存在で、黒子に徹してきた会社です。


戦後、日本のニット業界はイギリスやフランスといったヨーロッパからもたらされる情報を咀嚼し、改良やアレンジを加えて日本らしさ、つまり『MADE IN JAPAN』の地位を確立しました。ところが衣料品の製造は、どんどん中国やベトナムやインドに流出しています。低コストで大量生産できるという理由から。マスの世界で、どんどん市場が膨らんでいっているんですね。長年、職人として携わってきた私たちにしてみれば、それはフェイクでしかありません。何かを真似して作った商品があちこちにあふれているけれど、そこには心が全然見えていないんです。


ただ、近年では『MADE IN JAPAN』が見直されてきているとも感じます。特に21世紀になってから、女性の  “ものを見る目” や “情報力”  が高まってきていますね。たとえば出産を経て「子どもにこういういい素材の肌着や服を着せたい」と、ブランドを立ち上げる女性オーナーさんもいます。そういう方から「ウールのおむつを作りたい」と相談されることもありました。私たちはマスプロダクションの世界ではなく、作り手の心が見えるものに興味のあるユーザーと交流しながら、新しいマーケットをつくれたらいいなと考えています。


メリヤスパンツ
――――その一環として、自社製品も手掛けるようになったのですね。

『CAMETARO🄬(亀太郎)』という、インナーを中心としたブランドがあります。ブランド名は、私の祖父でもある創業者の名前から付けました。第一メリヤスは、“着る人”のことを想ってものづくりをしていた祖父の姿勢を、父、兄、私とずっと受け継いでいるんです。兄(先代社長)がよく「わが社のDNA」という言葉を使っていたのですが、それは「人が人のために人の服を作る」ということなんですね。どういう服なら着心地がいいだろう、快適だろうと考えながら作ります。




そこでまず私たちが心がけているのが、原料を大事に考えようということ。特に悠久の歴史とすばらしい機能を持つ天然繊維に着目しています。原料メーカーもいろいろと研究しているので、良い原料を使った衣料品を、直接お客さんに着てもらおう、味わってもらいたいと考えています。ポリエステルのような化学繊維も、強度が必要な生活用品などに使うにはメリットがあるけれど、やはり衣料品としては味わいのあるウールやシルクなどをもっと着てほしい。オーガニックコットンなどはだいぶ知られていて、一定の層には広がっているようですが…。たとえば、この『CAMETARO🄬』のアンダーウエアは、  “スビン”  という世界でも希少な綿を使っています。とても肌触りがいいし、洗濯にもかなり強いんですよ。


――――確かに!柔らかくてしなやかなのに、さらりとした質感です。


それから、原料を大事に考えるという意味では、ハサミで余分なところを切ってムダを出したりしないよう、無縫製にもこだわっています。多くの人は縫い目が肌に当たる違和感を、無意識に「こういうものだ」と抑えつけながら生活しているんだと思いますが、この無縫製の『CAMETARO🄬』を着用したら「めちゃくちゃええ!」ことが分かってもらえると思うんですよ(笑)


これはまた別の『GAUGE(ゲージ)』という自社ブランドですが、このカシミヤのノースリーブも無縫製ですね。ただし、完全無縫製にするとシルエットがだらしなくなるので、襟と肩口の部分はパーツで作って、それをニットデザイナーたちが縫い合わせています。

 
 

ニットはロックのようなもの!?

メリヤス 手縫い
――――まさに「人が作る」ですね。

機械やコンピューターに頼る部分が進んでも、人が着るものに人が介在することは、ものすごく大事。縫製とかボタン付けとか。クリスマスツリーでも、デコレーションは人がしていく方が楽しいでしょう?そういうことも、私たちのものづくりの大きなテーマなんです。

ニットというのは、棒針や鍵針や糸があって、そこに智恵が加われば作れるものです。身近なところで、自分の手から生み出していくことができるんですね。



衣料品は、大別すると織物と編物とがあるのですが、私は織物が「クラシックオーケストラ」、編物は「ロックバンド」みたいなものだと思っているんですよ。縦糸と横糸をきちんと織り込んだ織物は、技術を習得した熟練の弦楽器や打楽器の奏者が集まり、指揮者のもとにきちんと演奏するようなオーケストラに近い。一方ロックは、曲作りへの気持ちがあって、楽器を調達して、場所を確保して、チケットを作って配って宣伝して、そして自由にワーッと盛り上がる。私は音楽が好きなのでちょっとこじつけのような説になってしまいますが、「自分達が作ったものをなんとか自分達で多くの人に知らせていきたい」というロックの精神のようなものが、編物にも通じると思っています。



第一メリヤス4
――――まずは知っていただくことが大事なんですね。

たとえば、ウール製品は多くの人にとって「ちくちくする」というイメージがありますよね。それは、ウールの直径に関係しています。一般的に出回っているウール製品は、直径が21マイクロンくらい。それが17.5マイクロンくらいのウールになると、肌に当たってもちくちくしません。さらに、燃えにくい、抗菌防臭に優れている、水を弾く、保湿性がありながら通気性もいい、そんな特性も持ち合わせています。こういう素材って、特に冷え性の女性にはいいですよね。そういうことも知ってほしいんです。



余談ですけど、私は夏もウールの肌着を着ているんですよ。夏にウールって、暑そうでしょう?でも通気性がいいし、汗も弾いてくれる。前日、淀屋橋から本町まで歩いてだいぶ汗はかいたのに、翌日に疲れが残っていない。そんな体調の良さを感じる時は、「汗冷えが少ないウールを着ているからだ」と思っています(笑)


――――ものづくりが、健康や美へのサポートにもつながると。

「美容・健康」と「衣料品」は、これからもっと接近していくと思います。昔はファッションって「無理しても、とにかくカッコよかったらええ」という風潮でしたが、いまは体が健康で、どんどんきれいになって、それで明るい社会になっていくという考え方なのではないでしょうか。たとえば化粧品や健康食品でも、シルクパウダーを使ったりしますよね。だから、体にいい素材のものを、特に素肌に近いところで着て味わってほしい。『CAMETARO🄬』というブランドがおもにインナーを作っているのも、そういう想いからなんです


 
 

製品の良さを広く知ってもらうために

第一メリヤス3
――――製品の良さは、まず原料の良さから始まるということですね。

やはり原料にこだわっているので、原料のキャラクターを広く知ってほしいですね。たとえばイギリスには羊が400~500種類もいるのですが、羊毛にはそれぞれ個性があります。やわらかくてふんわりしているもの、シャリっとして硬めのもの、硬いけれど軽かいもの…。コーヒーにいろいろな種類があって好みが分かれるように、原料のキャラクターも知ってもらえれば選ぶのも楽しいと思います。私たちは、貴重な原料をしっかり探して、ロス無く製品にして、着心地を味わってほしいと思っています。だから、まずは良い原料の衣料品があるということを、知ってもらうための発信が必要なんでしょうね。


――――どういった発信の方法をお考えですか。


OEMの会社なので、これまでは自社の名前が前面に出ることはありませんでした。でもこれだけインターネットが普及して、情報を自由にやり取りできる時代になりましたから、やはりHPやSNSをうまく使ってお客さんとつながるシーンをもっとつくりたいですね。じつは数か月前、遊び心からFacebook上で『CAMETARO🄬』を紹介していたのですが、忘れたころに「『CAMETARO🄬』パンツが売れてなくなりました」とスタッフに言われたんです。「そういうところで反応してくれる人が、世の中にはいてんねんな!」とびっくりしました。広く伝えるという意味では、やはりインターネットやSNSは便利だと思います。


―――――購入・着用してくれた人が、その着心地などをさらにSNSなどで発信してくれる可能性もありそうです。


そのためにも、さらに自社ブランドをしっかり進めていきたいです。実際に自社商品を手に取っていただく機会として、今は年に2~3回『ニットフェア』を開催しているのですが、これからは試着会とか展示会のようなものも考えていかないといけないのかもしれませんね。




インタビューの中で社長が何度もおっしゃった「着ることを味わって」という言葉から、服は単に着飾るためのものではなく、より快適で心地いい暮らしをつくる一端を担っていることに、あらためて気づかされました。これほど真摯な想いで作り上げる『第一メリヤス』のニットが、ますます広く知ってもらうところとなり、実際に多くの人の手に行きわたることを願ってやみません。



 
 

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